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偽札の製造・使用はどんな罪? 知らずに取得・使用した場合は

2022年02月17日
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偽札の製造・使用はどんな罪? 知らずに取得・使用した場合は

令和3年8月、東京都内の複数の地域で偽の1万円札が使用される被害が確認されました。豊島・中野・新宿・渋谷・墨田の5区内にあるコンビニやドラッグストアなど130店舗で合計142枚の偽札が使用されて警視庁が捜査を進め、外国籍の3名が逮捕されています。

デジタル編集技術や印刷技術が向上したことで、流通している「お札」の偽造は以前と比べると容易になっているといえます。さまざまな偽造防止措置が施されていますが、それさえも完全にコピーする事例も多く、気が付かない間に紛れ込んだ偽札を使ってしまうことがあるかもしれません。

本コラムでは、偽札を製造・使用した場合に問われる罪を確認しながら、偽札だと知らないうちに取得・使用してしまった場合の責任などを解説します。

1、偽札の製造は「通貨偽造罪」にあたる

「お金」の信用は国の経済活動にかかわる重大な問題です。もしお金の偽造を許してしまえば、物価は不安定になり、諸外国に対する「円」の信用度も低くなってしまいます。

そこで、刑法では「通貨偽造罪」を設けて厳しい刑罰を規定しています。

  1. (1)通貨偽造罪とは?

    通貨偽造罪は刑法第148条1項に定められた犯罪です。行使の目的で通用する貨幣、紙幣または銀行券を偽造し、または変造した者について、無期または3年以上の懲役を科すことを規定しています。

    「行使」の目的がある場合に限定しているため「お金として使う」という意図がなければ罪には問われません。ただし、行使の目的がない場合でも、紛らわしい模造品を作れば別の罪に問われることがあるので注意が必要です。

  2. (2)「通貨」とは?

    ここでいう「通貨」とは、条文に示されているとおり「通用する貨幣・紙幣・銀行券」を指します。

    貨幣とは非常に広い意味での「お金」を指すもので、紙製・金属製の両方を含みます。紙幣とは貨幣のなかでも紙製のものです。

    ただし、現行のわが国の制度では、正確な意味での紙幣は存在せず、紙製のものとしては日本銀行券だけがお金としての価値をもっています。

    法学・経済学などの考え方に沿うと難しくなるので、一般的には次のように解釈しておけばよいでしょう。

    • 紙製のお金……日本銀行券・お札・紙幣
    • 金属製のお金……硬貨・貨幣


    現在流通しているお金は次の11種類です。

    • 1万円券
    • 5000円券
    • 2000円券
    • 1000円券
    • 500円貨(バイカラー・クラッド)
    • 500円貨(ニッケル黄銅)
    • 100円貨(白銅)
    • 50円貨(白銅)
    • 10円貨(青銅)
    • 5円貨(黄銅)
    • 1円貨(アルミニウム)


    なお、過去に流通していたお金であっても、現在も使用できるものもあります。財務省のホームページで公開されていますので、ご確認ください。

  3. (3)「偽造」や「変造」とは?

    通貨偽造罪を理解するうえでも非常に紛らわしいのが「偽造」と「変造」の違いです。

    偽造とは、権限のない者が真正なものと誤信させるような外観のものを作成することを意味します。
    カラーコピーなどで本物そっくりの1万円札を作った、鋳型を複製して500円硬貨に似せたものを作ったといった行為は偽造です。

    変造とは、権限のない者が真正な通貨を加工して他の通貨と誤信させる外観のものを作成することを指します。
    たとえば真正な1000円札を加工して1万円札に似せたものを作る、真正な1000円札を表と裏に剥がしたうえでそれぞれのり付けして折りたたまれた1000円札に見せかけるといった行為が該当します。

  4. (4)偽札製造の準備だけでも処罰される

    偽札をはじめ、通貨偽造のために器械や原料を準備しただけでも、刑法第153条の「通貨偽造等準備罪」に問われます。
    法定刑は3か月以上5年以下の懲役で、罰金が予定されていない重罪です。

2、偽札だと知らずに使ってしまっても罪に問われるのか?

偽札が行使されると、さらにその先でも偽札が流通してしまうおそれがあります。
どこで受け取ったのかもわからないうちに偽札を手にしてしまう危険もあるわけですが、もし偽札だと知らずに使ってしまったとしても罪に問われてしまうのでしょうか?

  1. (1)偽札を使用すると「偽造通貨行使罪」

    偽造・変造した偽札を買い物などの支払いに使うと「行使」が成立し、刑法第148条2項の「偽造通貨行使罪」に問われます。
    自分が行使するだけでなく、行使の目的をもって他人に交付した場合や輸入した場合も同罪です。

    法定刑は無期または3年以上の懲役で、罰金が予定されていない重罪です。

    また、偽札を買い物に使おうとして見破られてしまった場合でも、刑法第151条の規定によって行使未遂として罰せられます。
    この場合は通貨偽造行使と同じ罪として罰せられるため、無期または3年以上の懲役の重罪となります。

  2. (2)取得後に偽札だとわかって使用すると「偽造通貨収得後知情行使罪」

    自ら作った偽札を行使した場合や、他人が作ったものとはいえ偽札だと知っていて行使すれば偽造通貨行使罪の成立を避けられないのは当然です。

    では、どこからか流通してきた偽札を偶然にも取得したうえで買い物などに使ってしまった場合はどうなるのでしょうか?

    もし、真正なお金だと思って取得したのちにそれが偽札だとわかったうえで行使すると、刑法第152条の「偽造通貨収得後知情行使罪」が成立します。たとえ偶然に取得したのだとしても、手にしたお金が偽造だとわかっているのに行使すれば罪は免れられないのです。

    法定刑は、偽造通貨の額面の3倍以下にあたる罰金または科料です。ただし、その金額は2000円以下にはできません。

  3. (3)「知らなかった」のが事実で行使もなければ罪には問われない

    もし、偶然にも偽札を取得してしまい、偽札であることにもまったく気づかずに買い物などに使ってしまった場合は、偽造通貨に対する故意が一切ないことになります。

    ただし、実際に行使した人物として特定されれば容疑を確認するために警察による取り調べがおこなわれるでしょう。

3、お金のイラストや写真を商品に使用すると犯罪になるのか?

特に偽造通貨を行使する目的がなければ、通貨偽造・行使罪には問われません。
ただし、行使の目的がなくてもお金のイラスト・写真をジョーク商品などに使用すれば犯罪になる危険があります。

  1. (1)紛らわしい外観のものは「通貨及証券模造取締法」に違反する

    貨幣・紙幣・銀行券などに紛らわしい外観を有するものを製造し、または販売する行為は「通貨及証券模造取締法」第1条によって禁じられています

    たとえば、1万円札の大きさ・図柄・模様・色味とそっくりな表紙をもつメモ紙などの商品は、この法律でいう「紛らわしい外観のもの」にあたるでしょう。

    また、これらをデジタルカメラなどでお札を撮影し、その画像データを自身のホームページやブログなどに掲載しても違反にはあたらないものと考えられますが、プリントアウトすれば違反となるおそれがあります。

    なお、この行為への罰則について、第2条は「1か月以上3年以下の重禁錮に処し、5円以上50円以下の罰金を附加する」と明記しています。
    通貨及証券模造取締法は明治28年に制定された古い法律であり、現在は「1か月以上3年以下の懲役」へと改められています。

  2. (2)明らかな模造品を行使すると「詐欺罪」が成立する

    通貨及証券模造取締法によって禁止される「紛らわしい外観を有するもの」を買い物などに使っても、その紛らわしさの程度が手に取ってみればすぐに偽物と分かる程度の紛らわしさであれば、それは「偽造」とまでは言えませんので、偽造通貨行使罪には問われません。

    ただし、偽造といえるほどの精度がないものでも、紛らわしい外観を有するものを買い物などに使って商品やお釣りを手にすれば、他人に嘘をついてこれらをだまし取ったことになります。

    この場合、刑法第246条の「詐欺罪」に問われる可能性があり、詐欺罪で有罪となれば10年以下の懲役が科せられるでしょう。

4、通貨偽造・行使を疑われたら弁護士に相談を

偶然にも偽札を取得して買い物などに使い、通貨偽造・行使を疑われてしまえば、警察の捜査対象となり、取り調べを受ける事態は免れられないでしょう。
通貨偽造・行使は国家の経済をゆるがす重罪なので、逮捕されてしまうおそれもあります。

容疑をかけられてしまった場合は、通貨偽造に関与していないこと、偽札を取得した経緯に故意がないこと、偽札であることの認識がないまま行使してしまったことなどを、客観的な証拠にもとづいて証明しなければなりません

たとえ真実でも、容疑をかけられた本人による「通貨偽造には関与していない」「偽札だとは知らなかった」という証言を信用してもらえるとは限らないでしょう。

このような事態を解決するには、弁護士のサポートが欠かせません。弁護士に依頼すれば、取り調べに対する受け答えのアドバイスだけでなく、容疑が強まって逮捕されたときの早期釈放に向けた弁護活動、不起訴処分を目指した捜査機関へのはたらきかけなども得られます。

5、まとめ

偽札を作れば「通貨偽造罪」にあたり、これを買い物などに使えば「偽造通貨行使罪」に問われます。

懲役のみが予定されている重罪であり、たとえ偽札だと知らずに使ってしまった場合でも容疑をかけられれば厳しい追及を受けることになるでしょう。

容疑を晴らし、厳しい刑罰を避けるには、弁護士のサポートが必須です。

通貨偽造・行使の容疑をかけられてしまった場合は、直ちに刑事事件の解決実績が豊富なベリーベスト法律事務所 新宿オフィスへご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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