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業務委託契約を解除したい! 終了通知は何日前に送るべきか

2023年08月22日
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業務委託契約を解除したい! 終了通知は何日前に送るべきか

経済産業省企業活動基本調査の2020年度実績によると、令和2年度の全企業29574件のうち業務の外部委託を行っていない企業はわずか9105社のみでした。多くの企業は何らかの形で外部委託を行っているといえるでしょう。別の会社や個人事業主などの外部に業務委託をする場合、一定の期間が盛り込まれた業務委託契約を取り交わし、期間満了まで委託・受託の関係が続くのが一般的です。

では、発注側の企業が受注者との業務委託契約を解除したい(契約期間の途中で終わらせたい)場合、どうすればいいのでしょうか。契約の解除は、不可能ではありませんが、リスクに配慮をしたうえで適切な手順で行うことが重要です。この記事で、ベリーベスト法律事務所 新宿オフィスの弁護士がわかりやすく解説しますので、一緒に確認していきましょう。

1、業務委託契約には2種類ある

業務委託契約を中途解約したいと考えたとき、まずそれが、委任契約なのか請負契約なのか確認することが大切です。各契約によって、生じるリスクや解除方法の仕方が変わります。

  1. (1)委任契約とは

    委任契約とは、当事者の一方(委任者)が、もう一方(受任者)に対して法律行為を委託し、両者がそれを合意する行為です。たとえば、弁護士や税理士などに業務を委託する場合、委任契約にあたります。

    他方、委託の内容に法律行為が伴わない場合の委任契約を、準委任契約といいます。具体的には、コンサルティングの依頼などがあげられるでしょう。準委任契約については、委任契約の規定が準用されます(民法第656条)。

    委任契約(および準委任契約)は、さらに履行割合型と成果完成型の2種類に分けられます。

    履行割合型の場合、受任者は、実際に行った業務の割合に応じて報酬を請求することが可能です。つまり、実際に成果があるかどうかではなく、業務に取り組んだかどうかが報酬を左右します。

    一方、成果完成型の場合、業務遂行によって生じた成果によって報酬が発生します。ただし、業務遂行にいたらなくても、委任者に何らかの利益が生じている場合、受任者は委任者に対して報酬を請求できることがあります。

    委任契約によって業務を委託された受任者は、ただ業務に取り組めばいいわけではなく、善管注意義務(通常、その職業に対して期待される注意義務)を果たさなければいけません(民法第644条)。また、委託者から請求があった場合は、受任者は速やかに状況の結果や経過を報告する必要があります(民法第645条)。

  2. (2)請負契約とは

    請負契約とは、当事者の一方(注文者)が、もう一方(請負人)に対して特定の仕事を完成させることを依頼し、両者がそれを合意する行為です。たとえばイラストレーターにポスターのイラスト作成をお願いする、ライターに取材記事の執筆を依頼する場合などが請負契約にあたります。

    請負契約は、成果物の提出によって報酬が発生することから、委任契約の成果完成型と混同されがちです。

    しかし請負契約では、委任契約のような善管注意義務はありません。その代わり、請負人は、契約不適合責任(旧民法では瑕疵担保責任)を負います。契約不適合責任とは、請負人が行った仕事の内容が契約内容に適合しない場合に負担する責任のことをいいます。もし契約内容通りの成果物が納品されなかった場合、注文者は請負人が責任を果たしていないことを理由に、請負人に対して修正を求めたり、報酬の減額を請求したりすることが可能です。

    一方で、たとえば請負人から納品された成果物の質があまりよくなくても、注文者の指図によってそれが生じている場合は、原則として責任は発生しないとされています(これを請負人の担保責任の制限といいます)(民法第636条)。

2、途中で契約解除すると損害賠償請求されるリスクがある

たとえ委託者側であっても、安易に業務委託契約を解除してはいけません。業務委託契約が委任契約に該当する場合も請負契約に該当する場合も、損害賠償のリスクがあるからです。

  1. (1)委任契約の場合

    まず、委任契約から見ていきましょう。民法第651条に従えば、委任契約は各当事者がいつでも解除することが可能です。ですが、同条2項1号では、相手方に不利な時期に契約を解除したときは、損害賠償の責任が生じるとされています。

    また同条2項2号では、委任者が、受任者の利益(報酬以外)をも目的とする委任契約を解除したときは損害賠償しなければいけないとされています。

  2. (2)請負契約の場合

    請負契約の場合は、どうでしょうか。民法第641条では、請負人が仕事を完成しない間は、注文者はいつでも損害を賠償して契約の解除ができると定められています。したがって、成果物の納品前に契約解除を告げると、請負人から民法第641条を理由に、損害賠償請求される可能性が考えられます。

  3. (3)他の民法との関係性

    ところで民法には、債務不履行による解除の条項(民法第541条や第542条)があり、債権者が債務者との契約を解除できる条件が定められています。そのため注文者は、請負契約であっても、状況によっては債務不履行を理由に損害賠償請求のリスクを避けながら、解除を求めることが可能です。

    ただし、請負人および受託者の債務不履行だからといって、すぐさま契約を解除することは危険です。請負人および受託者から民法641条や民法651条2項の適用を主張され、損害賠償請求されてしまうリスクが契約解除には潜んでいるからです。

3、業務委託契約を解除する方法

前項までを見てきてわかるように、解除によって相手に損害を与える可能性があると、損害賠償請求されるリスクが伴います。そのため、解除したい場合は、慎重に手続きを進めることが重要です。以下、主な手順をご紹介します。

  1. (1)業務委託契約書に目を通す

    最初に、業務委託契約書に目を通し、契約の有効期限がいつからいつまでなのか、解除するための条件(解約条項)はどのように定められているのかを確認しましょう。解除だけでなく、違約金の発生や損害賠償請求の有無の項目があれば、あわせてチェックするようにしてください。なお、契約書に解除についての詳細が書かれていない場合、民法に従うのが一般的です。

  2. (2)受託者と話し合いをする

    業務委託契約書の内容を確認したら、受託者との話し合いの場を設けます。契約の解除では業務委託契約の解除通知書(詳細後述。解約通知書ともいいます)が必要ですが、それをいきなり送ってしまうと、受託者との関係が悪化することが多いからです。思わぬトラブルが発生しないように、相手のことを配慮しながら交渉を進めていきましょう。

  3. (3)業務委託契約の解除通知書を作成して受託者に送付する

    受託者と交渉し、お互いに納得したら、受託者に業務委託の解除通知書を内容証明郵便で送付します。通知書には、通知書の送付日、受託者や委託者の名前と住所、業務委託契約を解除する旨、解除日などはもちろん、解除の理由についても記載するのが一般的です。

    解除理由を受託者の債務不履行にする場合、基本的には通知書に催告の内容を盛り込まなければいけません。債務不履行をしている内容を示したうえで、「つきましては、本通知書が到達してから○○日以内に債務を履行しない場合は、本件契約を解除いたします」などと、一定期間猶予がある旨を記載しましょう。また債務不履行に基づく違約金の請求を行う場合は、具体的な金額や振込期限などもあわせて記しておきます。

    解除通知書をもって改めて受託者の合意が得られたら、解除合意書(解約合意書)を作成するのが通例です。契約の内容や解除の合意が得られた日付などを記載した書類に、双方の氏名・住所を記入、捺印して、お互いに1通ずつ保管しましょう。

4、弁護士に相談するメリット

業務委託契約をトラブルなく解除するには、業務委託契約書の正しい理解と、民法の適切な理解が不可欠です。ただ、それだけで受託者が納得し、交渉がすべてうまくいくわけではありません。むしろ受託者が、委託者の対応を指摘し、損害賠償を請求してくる可能性もあります。

いずれにしても、受託者の出方次第では、裁判で争う必要が出てきます。もし訴訟となれば、法的な根拠をもって主張することが重要です。

そのため、業務委託契約を解除したいときに、少しでも気にかかることや、交渉が難航しそうな気配がある場合は、弁護士に相談してから手続きをはじめてください。特に、相手がフリーランスであったり下請け法の規制対象とみなされる状況である場合は、法改正なども行われているので慣習的な対応をするとトラブルが生じる可能性があります。まずは弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士であれば、契約内容や受託者とのやり取りを確認したうえで、どのようにすれば解除手続きがスムーズにできるかどうかアドバイスが可能です。また、裁判に発展した際にも、委託者に有利な結果になるよう法廷で主張できます。

5、まとめ

業務委託契約は、本来、決められた期限まで委託と受託の関係が続くことを、お互いに合意したうえで締結した契約です。解除を希望する場合は、どのような理由であれ、相手の立場も考慮したうえで、丁寧な対応を心がけることが重要といえるでしょう。また、受託者がフリーランスや下請けとみなされるものである場合、交渉においても適切な対応が求められます。

もし、受託者にどのような説明をしていいのかわからない、穏便に済ませたいが一筋縄ではいかなそう……と思うときは、ベリーベスト法律事務所 新宿オフィスにご連絡ください。所属の弁護士がお話を聞いたうえで、できるだけ希望に近い結果となるようにお手伝いします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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