消費税還付の対象者は? 清算仕訳や必要な手続きなどをポイント解説
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事業者は、商品を販売する等のサービスを提供した場合には、消費者から消費税を含む対価を受け取ることになります。他方、事業者も商品の仕入れや備品の購入時には、他の事業者に対して消費税を含む対価を支払うことになります。
消費税の課税事業者は、基本的には、受け取った消費税から支払った消費税の差額について確定申告を行い納税する必要があります。しかし、受け取った消費税よりも支払った消費税が多い場合には、払いすぎている消費税の還付を受けることができる場合があります。
今回は、消費税の還付の仕組みや必要な手続きについて、ベリーベスト法律事務所 新宿オフィスの弁護士が解説します。
1、消費税還付とは
消費税の還付とはどのような仕組みなのでしょうか。以下では、消費税の還付に関する基本的な知識について説明します。
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(1)消費税が還付される仕組み
消費税の還付とは、消費税の課税事業者が払いすぎてしまった消費税の還付を受ける手続きのことをいいます。
消費税の課税事業者が納付すべき消費税額とは、課税対象の売上で預かった消費税額から仕入れや経費などで支払った消費税額を差し引いた金額となります。そのため、支払った消費税額が預かった消費税額よりも多くなれば納付すべき消費税額はマイナスとなり、その分の消費税が還付されることになるのです。
これが、消費税が還付される基本的な仕組みです。 -
(2)消費税の還付を受けられる条件
消費税の還付を受けるためには、以下の条件を満たしている必要があります。
① 消費税の課税事業者であること
消費税の還付を受けるためには、消費税の課税事業者であることが必要になります。課税事業者とは、消費税を納税する義務がある法人または個人事業主をいい、以下の条件を満たす法人または個人事業主は、課税事業者になります。- 基準期間(法人は原則前々事業年度、個人事業者は前々年)における課税売上高が1000万円を超える場合(消費税法9条1項本文、同5条1項参照)
- 創業から2年度以内であり、事業年度開始日時点の資本金が1000万円以上の法人(消費税法12条の2第1項参照)
上記の条件を満たさない場合には、免税事業者になり消費税を納税する義務が免除されるというメリットがあります。しかし、預かった消費税から支払った消費税を差し引いた金額がマイナスになったとしても、消費税の還付を受けることができないというデメリットもあります。
免税事業者であっても「消費税課税事業者選択届出書」を所轄の税務署に提出することによって課税事業者となり消費税の還付を受けることができますが(消費税法9条4項参照)、一度課税事業者となった場合には、2年間は免税事業者に戻ることができませんので注意しましょう。
② 消費税納付税額の計算方法で原則課税方式を選択していること
消費税納税額の計算方法には、原則課税方式と簡易課税方式の2つがあり、消費税の還付を受けるためには、原則課税方式を選択している必要があります。
原則課税方式とは、預かった消費税から支払った消費税を差し引いて納税すべき消費税額を計算する方法です。
これに対して、簡易課税方式とは、預かった消費税額からみなし仕入れ率で計算した金額を差し引くことによって計算する方法です。簡易課税方式を選択して場合には、そもそも支払った消費税が預かった消費税を上回るという事態が生じないため、消費税の還付を求めることができないのです。 -
(3)消費税の還付を受けることができるケース
消費税の還付を受けることができるのは、支払った消費税額が預かった消費税額よりも多くなる場合です。そのような場合に該当するケースとしては、以下のものが挙げられます。
① 大幅な赤字になった場合
業績不振などによって売上よりも仕入れなどの経費が多かった場合には、預かっている消費税額よりも支払った消費税額が大きくなることが多いです。
そのため、大幅な赤字になった場合には、消費税の還付を受けられる可能性があります。
② 大幅な設備投資をした場合
機械設備や不動産(建物)などの高額な設備投資を行った場合には、支払った消費税額の方が大きくなりますので、消費税の還付を受けることができる可能性があります。ただし、土地の購入は、消費税の課税対象外となりますので、注意が必要です。
③ 輸出中心の貿易業を営んでいる場合
消費税は、日本国内の取引に対してかかる税金です。海外への輸出が中心の貿易業などを営んでいる場合には、消費税は非課税となりますので、預かった消費税額が発生しなくなります。他方、仕入れなどの経費はかかりますので、支払った消費税額が預かった消費税額を上回り、消費税の還付を受けられる可能性があります。
2、消費税の還付を受けた場合の経理処理
消費税の還付を受けた場合には、どのように経理処理をすればよいのでしょうか。当該企業において消費税の会計処理として、税抜経理方式と税込経理方式のどちらを選択しているかによって扱いが異なってきます。
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(1)税抜経理方式の場合
還付された消費税の仕訳について、勘定科目は「未収消費税等」や「未収入金」等として計上されます。
確定申告時には、課税売上に対する消費税を「仮受消費税」、課税仕入れに対する消費税を「仮払消費税」と表示します。そして、還付金の金額が判明しているときには、借方に「未収消費税」と計上します。
ただし、実際の還付金の額と仮受消費税と仮払消費税の差額に端数が発生して一致しない場合もあります。この場合には、「雑収入」科目を使用して調整し、還付金を受け取った場合には「未収消費税」を減少させます。 -
(2)税込経理方式の場合
税込経理方式でも、還付された消費税の仕訳には、税抜経理方式と同じ「未収消費税」を使用します。この場合には、税抜経理処理のような端数による不一致は発生しませんので、決算時は「雑収入」を用い、還付金の受け取った後に「未収消費税」を減少させます。
3、消費税還付を受ける方法
消費税の還付を受けるためには、消費税の還付申告期限内に消費税の確定申告を行う必要があります。
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(1)消費税の確定申告を行う
消費税の還付を受けるためには、所轄の税務署に消費税の確定申告を行う必要があります。その際には、消費税の確定申告書と一緒に「消費税の還付申告に関する明細書」の提出をします。この書類は、法人と個人事業主とで様式が異なりますので申告にあたっては注意しましょう(国税庁のウェブサイトにて、手引きおよび書式等をダウンロードできます)。
消費税の還付金の受け取り方法としては、確定申告時に指定した口座に振り込んでもらう方法と郵便局またはゆうちょ銀行に出向いて受け取る方法があります。 -
(2)消費税の還付申告期限に注意
消費税の還付申告の期限は、個人事業主の場合には翌年の3月31日まで、法人の場合には、事業年度の終了から2か月以内とされています。消費税の還付を検討している場合には、還付申告期限内の申告を忘れないようにしましょう。
なお、申告から還付金が実際に支払われるまでには、1か月から2か月程度かかることになります。消費税の還付金を事業資金に充てることを考えているなど、早期に還付金を受け取ることを希望する場合には、e-Taxにて電子申告を行うとよいでしょう。
4、企業法務は弁護士へ相談
企業や事業者が抱えるお悩みについては、弁護士に相談をすることによって解決することができる場合があります。
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(1)顧問弁護士のメリット
顧問弁護士とは、企業や事業者と顧問契約を締結し、企業や事業者が抱えるさまざまな経営上の悩みに対して法的な支援を行う弁護士です。
中小企業の経営者の中には、トラブルが生じていない状況では顧問弁護士なんて必要ないと考える方も少なくありません。しかしながら、顧問弁護士を依頼する大きなメリットとしては、トラブルが生じた場合の対処ではなく、トラブルを生じないための対策を講じることができるという点です。
事業を営んでいくにあたっては、取引先や顧客とのトラブル、従業員とのトラブルなどさまざまな法的リスクが生じる可能性を抱えています。トラブルが実際に生じてしまうとトラブルの内容によっては企業の社会的信用が失われる事態にもなりかねません。そのため、企業や事業者にとっては、トラブルを可能な限り防止するための対策が重要となるのです。
顧問弁護士であれば、会社が法令を守って適切に経営することができるように日ごろからサポートをすることが可能です。 -
(2)ベリーベスト法律事務所ではワンストップサービスの提供が可能
ベリーベスト法律事務所では、弁護士以外にも、税理士や社会保険労務士などの各分野の有資格者が所属しています。経営上の悩みやトラブルに関しては、法務だけではなく、税務や労務といった面からもサポートをすることが大切です。ベリーベスト法律事務所では、一度の相談でそれらの悩みをトータルに解決することができます。
また、各企業のニーズに合わせた多彩な料金プランも設定していますので、顧問弁護士をお考えの場合には、一度、ベリーベスト法律事務所までご連絡ください。
5、まとめ
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で大幅な赤字を計上することになった企業も少なくないでしょう。そのような場合には、消費税の還付を求めることによって、当面の資金需要に対応することができる可能性があります。
税理士も所属するベリーベスト法律事務所では、消費税の還付といった税務面に関しても対応することが可能です。消費税の還付に関してお悩みの企業または事業者の方は、ベリーベスト法律事務所 新宿オフィスまでお気軽にご相談ください。
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