パパ活は逮捕される? パパ活女子と男性、それぞれのケースを解説

2022年10月27日
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パパ活は逮捕される? パパ活女子と男性、それぞれのケースを解説

「パパ活」に絡んだトラブルが多発しており、社会の注目を集めています。令和4年5月、女性が飲むドリンクに合成麻薬を混入させた男が逮捕されるという事件が愛知県で発生しました。歌舞伎町でもこのような手口は横行しており、いわゆる「パパ活女子」の間では警戒が強まっています。

「パパ」となる男性側の被害事例も無視できません。令和4年1月には、パパ活女子が池袋の繁華街で知り合った男性をホテルで刺殺する事件も起きました。

パパ活に関するトラブルは、もはや男女を問いません。本コラムでは「パパ活」に関して、男性・女性、それぞれの立場から逮捕される危険のあるケースや適用される犯罪を解説していきます。

1、「パパ」は要注意! 男性がパパ活で問われる危険が高いケース

食事やデートなどの報酬を支払う「パパ」のなかには、プラトニックな関係に満足できずに肉体関係を迫ったり、思いどおりにならないと暴力的な行動に走ったりする人もいるようです。

ここでは、パパ活の「パパ」が犯してしまうことの多い罪をご紹介します。

  1. (1)同意を得ないわいせつ行為

    相手が思いどおりにならないからといって、同意を得ずに抱きついたり、身体を触ったり、キスしたりすると、刑法第176条の「強制わいせつ罪」が成立します。強引に性交・肛門性交・口腔性交に至れば同177条の「強制性交等罪」です。
    さらに、薬物やお酒などで前後不覚の状態にしてわいせつな行為や性交などをすると、同178条の「準強制わいせつ罪」や「準強制性交等罪」に問われます。

    「同意を得ていた」「相手もその気になっていたはずだ」と思っていたとしても、相手が「拒否したら何をされるか分からず怖かったので抵抗できなかった」といった主張をすれば、容疑をかけられる事態は避けられないでしょう。なお、相手が13歳未満である場合は、同意があったとしても罪に問われます。

    わいせつ行為で適用される各犯罪の刑罰は次のとおりです。

    • 強制わいせつ罪・準強制わいせつ罪……6か月以上10年以下の懲役
    • 強制性交等罪・準強制性交等罪……5年以上の有期懲役
  2. (2)児童・青少年へのわいせつ行為

    18歳未満の児童に対して、金銭や物品の報酬を渡し、又はその約束を交わしたうえで、性交や性交類似行為などをすると、「児童買春罪」が成立します。
    児童買春・児童ポルノ禁止法の第4条違反として、5年以下の懲役または300万円以下の罰金が科せられます。

    また、18歳未満の者は「青少年」にも該当するため、金品などの授受がなくても、都道府県で定められている「青少年健全育成条例」に違反します。東京都の場合は、第18条の6に定められた「反倫理的な性交等の禁止」に該当し、罰則は2年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられます。

  3. (3)相手への暴力行為

    令和3年6月には、以前、パパ活と称して金銭を取られた恨みから、その女性を見つけ出して歌舞伎町のホテルに連れ込み、顔や身体を数十回殴って怪我をさせた男が新宿警察署に逮捕されました。たとえ相手に非があったとしても、暴力による解決は許されません

    相手に対して暴力をふるって怪我をさせれば、刑法第204条の「傷害罪」が成立します。
    たとえ相手が怪我をしなかったとしても、首を絞める、はがいじめにする、つきとばす、毛髪を引っ張るなどの行為をすると、同第208条の「暴行罪」が成立します。

    暴力行為によって成立する犯罪の刑罰は次のとおりです。

    • 傷害罪……15年以下の懲役または50万円以下の罰金
    • 暴行罪……2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料

2、女性も加害者になり得る! 「パパ活女子」が罪を問われる危険があるケース

パパ活における犯罪といえば「女性が被害を受けた」とイメージしがちです。たしかに、報道される事案では、女性が性被害や暴力を受けたといったものが目立つので仕方がないのかもしれません。
しかし、女性でも加害者になることがあります。

もちろん、冒頭のニュースのとおり、パパ活女子が男性に対して危害を加えれば当然、罪に問われますが、この章では金品目当ての犯罪に焦点を当て、パパ活女子が起こしやすい行為をご紹介します。

  1. (1)相手の金品を盗む行為

    他人の金品などを盗むと、刑法第235条の「窃盗罪」が成立します。相手がシャワーを浴びている隙に財布からお金を盗む、寝ている間に腕時計などを盗むといったケースが典型的です。

    ここで注意すべきは、自分では「盗んだ」という感覚がなくても窃盗罪に問われるおそれがあるということでしょう。

    たとえば、2万円の報酬を約束していたのに色々な理由をつけて半額の1万円しか支払ってくれなかったので、隙をみて相手の財布から1万円を抜き取ったといった場合、「本来はもらえるはずだったお金だから、盗んだわけではない」と言い訳をしたくなるかもしれません。

    しかし、相手が約束を守らなかったからといって、同意を得ずに取り上げるのは違法です。いくら「相手が悪い」と主張しても、窃盗罪の成立は妨げられません。

    窃盗罪の刑罰は、10年以下の懲役または50万円以下の罰金です。

  2. (2)示談金目当てで金品を脅し取る行為

    z ホテルから出てきたタイミングで交際相手を装った男らとはちあわせ、「おれの女になにするんだ」などと脅し、示談金などの名目で金品を差し出させる行為は「美人局(つつもたせ)」と呼ばれます。典型的な脅しの手口で、刑法第249条の「恐喝罪」に該当する行為です。

    実際には夫婦でないにもかかわらず不貞慰謝料を請求するといった言いがかりをつけたり、妊娠したので中絶費用が必要になったといった嘘をついたりして金銭の支払いを受ければ、同第246条の「詐欺罪」に問われます

    いずれも刑罰は10年以下の懲役で、罰金の規定はありません。
    有罪になれば言い渡される刑罰は懲役の一択のみという重罪です。

3、パパ活に関連する犯罪はかならず逮捕される?

背景にパパ活が絡む事件の報道に目を向けると「容疑者を逮捕」といった文面が目立ちます。
事件を起こしてしまうと、やはり逮捕されてしまうのでしょうか?

  1. (1)逮捕の種類と要件

    逮捕には3つの種類があります。

    • 通常逮捕
    • 裁判官が発付した令状にもとづく逮捕です。事件発生後、警察が捜査を進めて証拠を固めたうえで逮捕するため「後日逮捕」とも呼ばれています。
      通常逮捕が認められるのは、被疑者が罪を犯したと疑うに足りる相当な理由があり、逮捕しなければ逃亡や証拠隠滅を図るおそれがある場合に限られます

    • 現行犯逮捕
    • 犯行のその時、その場で身柄を拘束する逮捕です。まさに犯行を目撃している、あるいは犯行の明らかな証跡があるといった状況で、犯人を取り違える危険がないため、裁判官の令状を必要としません。また、警察官ではない一般の私人による逮捕も認められています。
      現行犯逮捕をするためには「その人がこの事件の犯人だ」と断定できるだけの明白性が必要です。時間や場所が離れてしまっている、逃走した犯人を一度見失ったあとで再び発見したといった状況では、現行犯逮捕は認められません。

    • 緊急逮捕
    • 現行犯逮捕が認められない状況であるものの、裁判官による逮捕状の発付を待っていては被疑者に逃亡・証拠隠滅を許してしまうという場合に認められる逮捕です。逮捕の時点では逮捕状は不要ですが、逮捕後はただちに逮捕状を請求して発付を受けなければなりません。もし裁判官が逮捕状を発付しなかった場合は、ただちに釈放するという条件も付されます。
      緊急逮捕は例外的な手続きなので、厳格な要件を満たす場合にのみ許されます。一定の重大犯罪について、被疑者が罪を犯したと疑うに足りる充分な理由があることを必要としますし、かつ、裁判官に令状発付を請求するいとまがない状況下でなければなりません。
  2. (2)逮捕の危険は高いが在宅捜査になる可能性もある

    先述のようなパパ活に関連する罪を犯し、事件が警察に発覚すると、状況に応じて通常逮捕・現行犯逮捕・緊急逮捕のいずれかが選択されるおそれがあります。

    既に事件から日にちが経っていれば通常逮捕、暴行などの現場に警察官が駆け付けてきた場合は現行犯逮捕、いったんは現場から逃げたものの警察官による職務質問や検問にかかった場合は緊急逮捕といったかたちになるでしょう。

    ただし、罪を犯したからといってかならず逮捕されるわけではありません

    逮捕とは、被疑者の身柄を拘束して捜査の実効を高めたうえで、正しい刑事手続きのレールに乗せるために用いられる強制処分のひとつです。
    言い換えれば、身柄を拘束しなくても捜査が可能で、強制的な方法をとらなくても証拠が確保されており、刑事手続を進めるにあたって支障がないといった状況であれば、逮捕は認められないことになります。

    令和3年版の犯罪白書によると、検察庁で処理された刑事事件のうち、被疑者が逮捕された事件の割合は34.8%でした。残りの約65%は、逮捕されずに在宅事件として捜査が進められたことになります。

    このような統計をみると、実は逮捕されるケースのほうが少数で、大部分は在宅事件として処理されているという現実が見えてくるでしょう。

4、パパ活関連のトラブルで逮捕が心配なら弁護士に相談を

罪を犯したとしても、逮捕されるケースのほうが少数です。しかし、わいせつ事件や計画的な恐喝事件などは、悪質性が高いうえに証拠隠滅を図る危険もあると判断されやすいため、逮捕の危険は否定できないと考えて、対策を尽くすことをおすすめします。

逮捕や厳しい処分に対して不安を感じるなら、ただちに弁護士に相談しましょう。

  1. (1)被害者との示談による解決を依頼できる

    パパ活に関連する犯罪には、かならず被害者が存在します。
    トラブル発生後、ただちに被害者に対して示談を申し入れ、被害届の提出などを思いとどまってもらえれば、警察に認知されないまま解決できるかもしれません。
    また、すでに警察が捜査に乗り出していても、早期に被害者との示談が成立し、被害届や刑事告訴を取り下げてもらえば、逮捕や厳しい刑罰を回避できる可能性が高まります。

    ただし、被害者との示談成立は容易ではありません。
    危険な目に遭った被害者の多くは、加害者に対して強い敵対心を抱いています。
    謝罪や示談金の支払いを申し入れても応じてもらえなかったり、莫大な金額の示談金を求めてきたりと、交渉が難航してしまうケースも多いでしょう。
    そもそも、被害者のほとんどは、加害者に対して自分の連絡先などを教えることを嫌がりますから、代理人を経由しなければ、示談の申し入れすらできない可能性が高いです。

    被害者の敵対心をやわらげて安全に交渉を進めるには、弁護士の力が不可欠です

  2. (2)不当に重い処分の回避が期待できる

    パパ活に関連する犯罪には、それぞれに刑罰・罰則が定められています。犯した罪には、相応の刑罰が下されるのが当然です。

    とはいえ、双方に同意があったのに「無理やりわいせつな行為を受けた」といった虚偽の被害申告をされた、相手が約束を守ってくれなかったので自己救済に走ったなど、被害者側の事情を詳しくみれば一方的に重い罰を受けるのは不相応だといえるケースもめずらしくありません。

    事情を整理し、捜査機関や裁判官に主張することで、過度な処分が見直される可能性が高まります

5、まとめ

「パパ活」はトラブルの温床です。
タブーを犯してわいせつな行為に及んだり、どうせ二度と会うことはないなどと考えて金品を奪ったりすれば、逮捕や厳しい刑罰が待ち構えています。

また、女性がパパ活やギャラ飲みで稼いだお金は、副業での収入といえます。収入が一定を超えると確定申告をする必要がありますが、申告が必要なケースで確定申告をしなかった場合、脱税として摘発されるおそれもあるため、パパ活という行為そのものに注意が必要です。

パパ活に関する罪を犯してしまった場合は、ただちに弁護士に相談して早期解決を目指しましょう。
逮捕や刑罰に不安を感じているなら、刑事事件の解決実績が豊富なベリーベスト法律事務所 新宿オフィスにご相談ください。
トラブル解決に向けて、弁護士とスタッフが一丸となり全力でサポートします。

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