携帯電話やチケットの転売は違法か? 逮捕されるケースと対処法を新宿オフィスの弁護士が解説

2019年11月22日
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携帯電話やチケットの転売は違法か? 逮捕されるケースと対処法を新宿オフィスの弁護士が解説

平成30年6月、新宿区の携帯電話買い取り会社に転売するため、18歳の少年二人にiPhone2台を購入させたにもかかわらず、少年二人に購入代金や報酬を支払わなかったという詐欺の容疑で東京都杉並区の男性が逮捕されています。令和元年6月14日には、チケット不正転売禁止法が施行されました。不正に取得したチケットを転売したり、無許可で物品を転売したりすることは違法になるケースが多く、逮捕例も存在します。

そこで、今回は転売が違法になるケースや逮捕された際の対処法を、ベリーベスト法律事務所 新宿オフィスの弁護士が解説します。

1、チケットや偽ブランド品を転売すると違法になるのか?

転売と一口に言ってもさまざまな種類があり、すべての転売が違法となるわけではありません。新宿区でチケットを転売した場合は、東京都迷惑防止条例により、ダフ屋行為に該当するコンサートチケットの転売が違法になります。
また、古物営業法に違反する転売も違法となります。具体的には、偽ブランド品をオークションで転売した場合、転売目的で購入したものを販売しているのに古物商許可を取っていなかった場合などが違法となる可能性が高いでしょう。偽ブランド品と知りながら転売した場合は、商標権侵害罪や詐欺罪で逮捕される可能性もあります。万引きした商品を転売した場合は、万引き行為につき窃盗罪で逮捕される可能性も考えられます。

また、「チケット不正転売禁止法」施行後の行為であれば、たとえダフ屋行為に該当しなくても、インターネット上で特定のチケットを違法に転売するだけで逮捕される可能性もあります。

新宿区で転売をした場合に逮捕される可能性がある罪は、主に以下が考えられます。

  • 東京都迷惑防止条例
  • 古物営業法
  • チケット不正転売禁止法(令和元年6月14日以降の行為)
  • 商標権侵害罪
  • 詐欺罪

2、古物営業法違反とは

ライブチケットや物品をオークションサイト等で転売した場合に、適用される可能性がある罪です。とはいってもすべての転売が違法となるのではありません。

古物営業法は、取引される古物の中に窃盗の被害品等が混在するおそれがあることから、盗品等の売買の防止、被害品の早期発見により窃盗その他の犯罪を防止し、被害を迅速に回復することを目的としています(古物営業法第1条)。古物営業をする場合には公安委員会の許可が必要です(古物営業法第3条)。

古物とは、中古品のことですが未使用の新品も一度販売されたもの、取引されたものは「古物」に該当します。
古物営業の許可を取らずに無許可で古物営業を行った場合は違法であり(古物営業法第31条1号)、逮捕される可能性があります。自分のものを売ったり、オークションで出品したりすることについては、原則的に許可は不要です。ただし、転売目的で品物を入手したものを売る場合は、古物営業法の許可証が必要となりますので、注意が必要です。

3、転売で逮捕され有罪となった場合の量刑・罰則

次に、転売で逮捕され有罪となった場合の量刑や罰則を解説します。なお、万引きで入手した物品を転売した場合は、下記の罪に加えて万引き行為につき窃盗罪の罪に問われる可能性もあります。

●東京都迷惑防止条例のダフ屋行為で逮捕され有罪となった場合
東京都迷惑防止条例のダフ屋行為に該当するとして逮捕され有罪となった場合は6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処されます(東京都迷惑防止条例第8条第1項1号)。ダフ屋行為とは、スポーツや音楽ライブ、映画などのチケットについて、転売する目的で購入したり、公衆に転売したりすることを指します。

●令和元年6月14日に施行されたチケット不正転売規制法で逮捕され有罪となった場合
チケット不正転売禁止法には、「特定興行入場券」について、その「不正転売の禁止」及び「不正転売目的の譲受けの禁止」が定められています(チケット不正転売規制法第3条及び第4条)。
「特定興行入場券」とは、不特定又は多数の者に販売され、①興行主等が、販売時に、興行主の同意のない有償譲渡を禁止する旨を明示し、かつ、その旨を当該入場券の券面等に表示しているもの、②興行が行われる特定の日時及び場所並びに入場資格者又は座席が指定されているもの、③興行主等が、販売時に、入場資格者又は購入者の氏名及び連絡先を確認する措置を講じ、かつ、その旨を当該入場県券の券面等に表示しているもの、を言います(チケット不正転売規制法第2条第3項)。
「不正転売」とは、興行主の事前の同意を得ない特定興行入場券の、業として行う有償譲渡であって、販売価格を超える価格をその販売価格とするもの、をいいます(チケット不正転売規制法第2条第4項)。
チケット不正転売禁止法で逮捕され有罪になると、1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金、またはこれらが併科されます(チケット不正転売規制法9条1項)。

●古物営業法違反で逮捕され有罪となった場合
許可を受けないで古物営業を営んだ者は3年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます(古物営業法31条1号)。許可を得ずに転売を繰り返している場合はこの罪に処される可能性があるでしょう。

4、転売で逮捕された実例を紹介

次に、実際に逮捕された転売の事例を解説します。チケットの転売だけでなく物品の転売でも逮捕された事例がありますので、参考にしてください。

●英語教材を無許可販売
平成30年1月、中古の英語教材を無許可で売買していたとして、古物営業法違反(無許可営業)の疑いで、45歳男性が逮捕されました。逮捕容疑は平成29年1~6月、英語教材のCDや教本などをインターネット上のオークションやフリーマーケットで仕入れ、転売していたというものです。この男性は上記期間に46人から約106万円で教材を仕入れ、52人に約181万円で転売し、また、この期間以前にも同様の売買を行い、3000万円程度の利益を上げていた疑いもあるとのことです。

●人気アーティストのコンサートチケットを大量に転売
平成26年から平成28年にかけて、人気アーティストのライブチケットを大量に転売し、1000万円を売り上げたとして、25歳の女性が逮捕されました。この女性の容疑も無許可営業による古物営業法違反です。
女性は転売サイトを使って、コンサートチケット5枚を定価の1.6倍に当たる計約7万円で売った疑いがもたれています。

5、転売で逮捕された後の流れとは

転売で逮捕された場合、警察では最長48時間、検察では24時間、身柄を拘束されたまま取り調べを受けます。さらに検察官が勾留請求し、裁判官が勾留決定をすれば、最大20日間、引き続き拘置所や留置所に身柄拘束されたまま取り調べを受けることになる可能性があります。

逮捕から勾留が決まるまでの最長72時間は、弁護士以外は家族でも面会することができません。早急に、本人と接見をして対応するため、弁護士を選任することをおすすめします。早い段階で弁護士に依頼すれば、検察官や裁判官に対して勾留の必要性はないと主張するなどの弁護活動に取り掛かることができます。これにより、勾留されることなく、自宅に帰ることができる可能性が高まります。

勾留が決定した場合、最大20日間で検察は捜査を進めて、被疑者を起訴するかどうかを判断します。起訴された場合は刑事裁判が開かれて有罪か無罪か、そして有罪の場合は量刑などが決められます。日本の刑事裁判の有罪率は99.9%なので、起訴されたら有罪となることは覚悟しなければなりません。ただし、執行猶予付き判決を取ることができれば、刑務所に入らなくてもすみます。

なお、勾留後、「不起訴」となれば、罪に問われることなく身柄は解放され、日常生活に戻ることができます。

執行猶予付き判決や不起訴とするためにも、刑事事件の実績豊富な弁護士に相談し、対応を依頼することをおすすめします。

6、まとめ

新宿区で、無許可で転売を行うと古物営業法違反に問われる可能性がありますし、チケットを転売したら迷惑防止条例違反になる可能性があります。令和元年6月以降の行為にはチケット不正転売禁止法が適用されるので、インターネット上で転売しても逮捕される可能性があります。

これまでに無許可で古物を転売したり、チケットをオークションサイトで販売したりした経験があり、逮捕されるかどうか不安な場合は、転売事件での弁護実績が豊富な弁護士に現状を相談してみてはいかがでしょうか。

逮捕された場合は、最初の72時間の弁護活動が重要になりますので、早い段階で弁護士に依頼することをおすすめします。ベリーベスト法律事務所 新宿オフィスでも親身になって適切な弁護活動を行います。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています