よくある風俗トラブル行為と罰則。ケース別の対処法と示談交渉

2021年05月19日
  • 性・風俗事件
  • 風俗トラブル
  • 弁護士
  • 新宿
よくある風俗トラブル行為と罰則。ケース別の対処法と示談交渉

公益財団法人全国防犯協会連合会が取りまとめた「令和元年度風俗環境浄化協会の活動」によると、警視庁(東京)の性風俗関連特殊営業の届け出数は6035件で、都道府県別でもっとも多い件数となっています(令和元年12月末時点)。

特に新宿には日本最大級の歓楽街である歌舞伎町があり、東京の中でも夜の街としても知られています。

そうした夜の街と密接に関連しているのが風俗店です。なかには、水商売と風俗店を混同してしまったり、風俗店で禁止されている行為をしてしまったりすることで店側とトラブルになることがあります。このような事態を避けるために、利用する側が事前に知識を蓄積しておく必要があるでしょう。

また、もしもトラブルが起きてしまったときは、どのように対処すればいいのかも知っておく必要があります。

そこで、本記事ではよくある風俗トラブルとその対処法、そして弁護士に依頼するべき理由について、ベリーベスト法律事務所 新宿オフィスの弁護士が解説します。

1、風俗店で起きがちなトラブル3つのケースと罰則

まずは、風俗店で起きがちな3つのトラブルとその罰則について解説します。

  1. (1)本番行為

    風俗店では、「入浴料」を徴収されるソープランドを除いては、男性器を女性器に挿入する本番行為は法律で禁じられています。なお、ソープランドで行われている本番行為も、本来であれば違法です。店側は「お風呂で出会った男女二人が恋に落ちたので違法ではない」と主張して、規制を免れています。

    ソープランド以外の風俗店において、本番行為をしたことが捜査機関に露見すると、売春防止法違反に問われる可能性があります。もっとも、罰せられるのは買春した男性側ではなく、店側です。

    売春防止法は、そもそも売春そのものではなく、売春のあっせんや売春の助長行為などが処罰の対象であるため、サービス提供側である店側が処罰の対象となります。

    しかし、女性が「無理やり挿入された」と警察に被害届や告訴状を提出すると、強制わいせつ罪や強制性交等罪に問われる可能性があります。そのため、「警察に言われたくなければ慰謝料を支払え」などと店側が恐喝して、慰謝料を請求されるケースも少なくありません。

    万が一、強制わいせつ罪で有罪になると、6か月以上10年以下の懲役に処される可能性があります。強制性交等罪で有罪になると、5年以上の有期懲役に処される可能性があります。強制性交等罪で有罪になると、法定刑の下限が懲役5年なので原則執行猶予が付かず、実刑判決を受けることになります。

  2. (2)盗撮行為

    新宿区では東京都迷惑防止条例が適用されるため、風俗店等での盗撮も違法になります。盗撮をして東京都迷惑防止条例違反で逮捕され有罪になると、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処されます。

    盗撮行為が店側に露見すると、「お金を支払わなければ警察に通報する」などと言われ、慰謝料を請求される可能性があるでしょう。

  3. (3)18歳未満とのわいせつ行為

    「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」(以下「児童売春防止法」といいます)では、18歳未満の児童に対する買春を禁じています。

    18歳未満と知りながら、児童買春をした場合は、5年以下の懲役または300万円以下の罰金に処される可能性があります。ただし、相手が18歳未満と過失なく知らなかった場合は、罰せられることはないでしょう。

    また、店側や児童が「児童売春防止法違反で警察に被害届を出す」などと脅して、慰謝料を要求するケースもあるようです。

2、風俗トラブルで慰謝料を請求されたらどうすればよいか

風俗トラブルは、店側や女性従業員が男性客に対して慰謝料を請求することがほとんどです。店側や女性従業員は、違法行為をしたことを根拠に不当に慰謝料を請求してきますが、すぐに応じる必要はありません。まずは対処法を確認していきましょう。

  1. (1)客側に落ち度がある場合

    本番禁止の風俗店なのに本番行為をした、盗撮をした、女性従業員が嫌がる行為をしたなど、客側に落ち度がある場合は、警察に被害届などを出されると逮捕・起訴される可能性があり、起訴されると高確率で有罪となってしまいます。

    そうならないために、女性従業員と示談する必要がありますが、法外な慰謝料を支払う必要はありません。不当な要求に屈してしまうと、その後もさまざまな名目でお金を請求される可能性があるため、正当な手続きを踏んで示談を目指しましょう。

  2. (2)客側に落ち度がない場合

    本番行為・盗撮行為などの違法行為がない場合は、客側に落ち度がありません。それでも、店側や女性従業員が金銭を要求してきた場合は、相手側を恐喝罪に問える可能性があります。また、不当な要求に応えてしまうと、何度もお金を請求されかねないので、弁護士に交渉を一任することを強くおすすめします。

  3. (3)落ち度の有無にかかわらず脅迫や恐喝、暴行などがあった場合

    風俗トラブルを起こした客に対して、店側が脅迫や恐喝、悪質なケースでは暴行するなどして金銭を要求することもあります。

    職場にバラすと言われる、殴られる、などの行為があった場合は、どんなことをされたのかを、書面や録音などで残しておきましょう。ご自身に落ち度がなければ警察への相談も有効です。

    ただし、ご自身に本番行為を強要した、盗撮したなどの落ち度がある場合は、警察への相談の前に弁護士に相談してください。

3、風俗トラブルが起きたら示談交渉すべき

風俗トラブルが発生した場合、早急にすべきことは状況の把握と相手方との示談交渉です。客側に落ち度があるのかどうか、そして相手側が何を請求しているのかを把握した上で、示談をすすめなければなりません。

もっとも、相手の請求する金額をすべて支払う必要はありません。たとえば、盗撮をしてしまった場合は、女性従業員に対する慰謝料のみを支払うことになります。店側が要求する損害賠償請求や、罰金等を支払う義務はありません。

ただ、店側と女性従業員が一体となってトラブル対処を行っている可能性もあり、店側の要求をすべて拒否すると、女性従業員に刑事告訴等の法的措置を取られる可能性もあります。そのため、慎重に話し合いを行い、女性従業員と示談をすること、そして不当な要求をしっかりと断ることが重要です。示談が成立すれば、取り決めた以上の金銭を支払う必要はありません。

4、風俗トラブルを弁護士に依頼する3つの理由

風俗トラブルが発生したら、まずは弁護士に相談すべきです。ここでは風俗トラブルを弁護士に依頼する3つのメリットを解説します。

  1. (1)逮捕・起訴される前に事態をおさめられる可能性がある

    女性従業員が被害届や告訴状を提出した場合は、警察が捜査を行います。当然、男性側も取り調べを受け、場合によっては逮捕・起訴されてしまうかもしれません。

    こういった事態を回避し、不起訴・減刑を得るためには、被害者との示談が重要です。

    風俗トラブルの被害者は女性従業員です。店側ではなく、女性従業員と示談を成立させる必要があります。被害女性と示談が成立すれば、被害届を取り下げてもらう、示談が済んでいるため不起訴になる、減刑される、などの効果が期待できるでしょう。

  2. (2)トラブル全体を収束できる

    風俗トラブルの問題点は、女性従業員だけでなく店側やその他の関係者が登場して金銭を請求してくることです。女性従業員と示談を成立させても、店側が、損害賠償や罰金の支払いを求めてくることがあります。

    何度断ってもお金を請求され続けることもあるため、弁護士に依頼し、トラブルの関係者全体との交渉を行いましょう。

  3. (3)適正な金額での示談ができる

    風俗トラブルでは、不当に慰謝料を請求されることが少なくありません。しかし、弁護士が介入することで適正な金額で示談交渉を進めることができます。また、先ほどお伝えした通り、風俗トラブルで示談が必要な相手は女性従業員だけであり、それ以外の関係者に金銭を支払う必要はありません。弁護士に依頼し、示談をするべき相手と適正な金額での示談を目指しましょう。

5、まとめ

風俗店でのトラブルは、女性従業員や店舗だけでなく、関係者と称して暴力団関係者の存在をちらつかされるなど、恐怖をあおって、法外な慰謝料を請求されることが少なくありません。

逮捕・起訴を回避したい場合や不当な要求を取り下げさせたい場合などには、ベリーベスト法律事務所 新宿オフィスにご相談ください。状況を把握した上で、被害をこれ以上拡大させないため、また、事態をいち早く終結させるために尽力いたします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています