息子が元彼女の勤め先に押しかけ、禁止命令!このままだと逮捕される?
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芸能界のストーカー問題については、ニュースなどで見聞きしたことがある方も多いでしょう。しかし、ストーカー被害者となる方は芸能人だけではありません。新宿でも、男が元交際相手の職場に、面会を強要する目的で刃物を持って押しかけ、現行犯逮捕された事件がありました。被害者は無事でしたが、すでに警察にストーカー被害について被害届を出していたとの報道もあります。
恋愛のもつれなどから犯罪につながる行為に手を染めてしまう可能性は、誰にでもあります。もし、自分の息子がストーカー行為をしてしまうと、親として恥ずかしいやら情けないやらという気持ちとともに、将来の影響についても不安がよぎるものです。
そこで今回は、ストーカー行為によって、警告や禁止命令などを受けた場合の、逮捕や刑罰について詳しくご紹介します。
1、ストーカー規制法違反の基礎知識
ストーカーの話を聞いても、わが子と結びつける人はほとんどいないでしょう。しかし、気持ちをうまく表現できない、女性との接し方に慣れてない男性が、ストーカーと似たような心理を抱く可能性は否定できません。それが未成年であればなおさらでしょう。
まずは、どのような行為がストーカーとみなされ、規制される対象となっているのかについて確認していきましょう。また万が一、警察に逮捕され有罪判決を受けてしまった場合の処罰についても確認していきます。
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(1)ストーカー規制法による2つの規制
ストーカー規制法は、平成12年に「ストーカー行為等の規制等に関する法律」として施行された、まだ新しい法律です。それまでもストーカー行為自体はありましたが、平成11年に起こった桶川ストーカー殺人事件がきっかけに施行されたことで知られています。
ストーカー規制法では、以下の2つが規制対象となっています。- つきまとい等
- ストーカー行為
両者の違いは、規制となる行為の頻度によって変わります。「つきまとい等」も「ストーカー行為」も該当する行為自体は同じです。しかし、次項で紹介する「つきまとい等」にあたる行為が、繰り返し同一人物に対して行われたとき、「ストーカー行為」に該当することになります。
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(2)ストーカー規制法違反とされる8つの行為
「つきまとい等」に該当する具体的な行為は以下のとおりです。
●つきまとい・待ち伏せ・押しかけ・うろつき
自宅や職場、学校など、相手の行動範囲を用事もなくうろついたり、あとをつけたり、待ち伏せをしたり、進路をふさぐような行為を指します。
●監視していると告げる行為
「どこかで見られているのでは?」と、相手に感じさせるような言動(口頭、メール、LINEなどを通じて)を取ることです。自宅に戻ってまもなく「おかえり」とLINEをするなどが典型的な例です。
●面会や交際の要求
相手が会ってくれない、付き合ってくれないなど自身の欲求が満たされない場合に、面会や交際を強要する行為です。手段は、口頭、手紙などの文書、メール、LINEなどさまざまです。交際などを強要するために高価なプレゼントを渡し、受け取りを要求することも該当します。
●乱暴な言動
自宅前で大声を出す、車のクラクションを鳴らし続けるなどの乱暴な言動を指します。「死ね」「殺す」と告げる、自殺を示唆してどう喝する言動も当てはまることがあります。
●無言電話、連続した電話・ファクシミリ・電子メール・SNS等
拒否してもしつこく連絡を取り、存在をアピールする行為です。ストーカーの典型例ともいわれます。
●汚物などの送付
自宅に動物の死骸など、嫌悪感を与えるものを送付したり、車や自転車などに汚物をつけたりする行為などを指します。
●名誉を傷つける
誹謗中傷のビラを貼りだす、配布する、SNSで拡散するなどの行為です。
●性的しゅう恥心の侵害
電話などで卑わいな言葉を告げる、相手が見ることができるインターネット上にわいせつな写真を掲載する、郵送するなどの行為を指します。 -
(3)ストーカー規制法違反の処罰
成人している者がストーカー規制法違反として逮捕され、有罪となったときに下される処罰は、懲役刑と罰金刑があります。
- ストーカー行為をした者:「1年以下の懲役」または「100万円以下の罰金」
- 禁止命令等に違反してストーカー行為をした者:「2年以下の懲役」または「200万円以下の罰金」
なお、加害者が未成年の場合は、少年犯罪として処理されることになります。殺人事件など重大事件に至らない限り、刑法犯として裁かれ、懲役や罰金刑が科される可能性は低いと考えられるでしょう。その代わり、犯行内容や育成環境によっては、少年院送致などの処分を受けることがあります。
ただし、退学処分などの処分を下すかどうかについては、学校の方針によるものです。できるだけ処分を軽くすることはもちろん、周囲に事件が露呈するのを避けるためにも、長期間にわたり身柄を拘束された状態を避ける必要があるでしょう。
まずは、本人の言い分を聞くことも大切ですが、本当につきまといなどの行為をしたというのであれば、被害者に対して謝罪するとともに示談交渉を行うのが先決です。しかし、被害者側にとっては、加害者本人や加害者の家族が直接謝罪に向かったとしても、逆に恐怖を感じるなどの理由で、示談そのものに応じてくれないケースが多々あります。第三者である弁護士に対して、謝罪や示談交渉を依頼するほうが、スムーズな解決を望める可能性が高まります。
あなたの息子さんが成年であればもちろん、未成年であっても、被害者への謝罪と示談交渉をいかにスムーズに進めるかが、息子さんの将来への影響を避けることにつながると考えられます。
2、まとめ
「うちの子どもに限って……」と思っていたとしても、いまやストーカー規制法違反は日常に潜んでいる犯罪です。特に、SNSなどを介してストーカー行為をしていた場合は、親は気づきづらいものです。
あなたの息子さんが、気になる女性、もしくは付き合っていた彼女に対して、つきまといなどの行為をしていることを知ったら、まずは親が落ち着いて対処をすることが大切です。特に、警察から警告を受けたり、禁止命令を受けたりしているときは、逮捕されてしまう危険性が高まっています。たとえ本人は正当な理由があると思っていたとしても、接触しないように説得する必要があるでしょう。
あなたの息子さんにストーカー規制法違反の容疑があるときは、できるだけ早い段階でベリーベスト法律事務所 新宿オフィスにご相談ください。状況に応じて対策は異なりますし、カウンセリングが必要なこともあります。刑事事件の対応経験が豊富な新宿オフィスの弁護士が、親身になって対応いたします。
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