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マルチ商法を退会したい! 法規制や解約・返金のルールについて弁護士が解説

2021年05月19日
  • 一般民事
  • マルチ商法
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マルチ商法を退会したい! 法規制や解約・返金のルールについて弁護士が解説

「友人のしつこい勧誘で入会したが、マルチ商法であることに気が付いた」
「今後もうかる投資ビジネスと聞いて借金までして契約したのに、マルチ商法だった」

マルチ商法の契約をめぐっては、解約手続きや返金手続きなどにおいてトラブルになることも少なくありません。

特に東京は、マルチ商法取引を含む特定商取引法違反に基づく処分件数が多い都道府県です。実際、令和3年5月に特定商取引法ガイドで公開された資料によると、平成9年から令和2年までの特定商取引法違反に基づく処分件数は全国総数2079件で、そのうち東京都は343件を占めました。

本コラムでは、ベリーベスト法律事務所 新宿オフィスの弁護士が、マルチ商法の法規制や解約・返金のルールについて解説していきます。

1、マルチ商法とは

まずはマルチ商法について、ご説明します。

  1. (1)マルチ商法とは

    マルチ商法とは、ある人を販売員として勧誘して、さらにその人に次の販売員を勧誘させて販売組織を連鎖的に拡大して行うような商法をいいます。法律的には、マルチ商法は「連鎖販売取引」に該当する取引であり、特定商取引法の規制対象です。

    以下の4点に該当していれば、連鎖販売取引となります。

    • 物品の販売(または役務の提供など)の事業であって
    • 再販売・受託販売もしくは販売のあっせん(または役務の提供もしくはそのあっせん)する者を
    • 特定利益が得られると誘引し
    • 特定負担を伴う取引(取引条件の変更も含む)をするもの

    たとえば友人から「美容効果がある健康食品があるよ。会員になって安く仕入れて、あなたの友達に売り、さらにその友達に会員になってもらえば、その分もうかるよ」などと勧誘され入会・購入したとしましょう。

    このケースであれば、特定利益は他の人に商品を売って会員になってもらうことで得られるもうけが「特定利益」であり、商品の仕入れ費用が「特定負担」となります。

  2. (2)マルチ商法はねずみ講とは違う?

    マルチ商法を、ねずみ講のことだと思っている方も少なくないでしょう。

    ねずみ講では、「儲かるビジネスがありますよ。」と勧誘して高額会員費を請求します。他人を勧誘すると、会員費の一部が自分に、残りが上のメンバーに分配されていきます。ねずみ講はマルチ商法と違って特定の商品を扱っていません。ねずみ講は、無限連鎖講として「無限連鎖講の防止に関する法律」で禁止されている違法行為です。

    一方、マルチ商法は、商品の販売や役務の提供で利益を分配することを目的とし、法律で禁じられているわけではありません。とはいえ、勧誘方法などは、特定商取引法によって厳しく規制されています。

2、ありがちな勧誘パターン

続いて、マルチ商法のありがちな勧誘パターンをいくつかご紹介します。

  1. (1)典型的な勧誘パターン

    健康食品や化粧品などがマルチ商法の商品の典型例です。

    たとえば、久しぶりに会った友人から「この商品、試してみない?」などと言われて、お試しをした後に、「知り合いを紹介してくれたらその分だけ紹介料を支払うので、この商品や会社の良さを広めてほしい」「マルチ商法ではなくネットワークビジネスだ」などと勧誘されることがあります。

    実際のところ、契約したとしても、商品の購入費・セミナーへの参加費・新たな会員獲得のための交際費用など、さまざまな費用がかかり、利益を出せない人も多いようです。利益を出すことができる会員は、広い人脈を持っているような一部の人たちに限られます。

  2. (2)借金やクレジット契約を迫って強引に勧誘するパターン

    最近では、「お金が払えない」と断っても、借金やクレジット契約を迫られ強引に勧誘されたという相談が消費生活センターに寄せられています。

    たとえば、投資学習教材が入ったUSBメモリの購入を事業者から強くすすめられ、消費者金融からお金を借りて購入したものの、中途解約をめぐってトラブルになった事例があります。

    この事例では、事業者は「借金をしても絶対に損はしない」「教材どおりに投資すればお金持ちになる」「他の人を紹介してその人がUSBメモリを購入すれば、ひとりにつき5万円支払う」などと言葉巧みに消費者を勧誘していました。

  3. (3)マルチ商法だと気が付きにくい勧誘パターン

    国民生活センターには、商品ではなく役務に関するマルチ商法被害の相談も多く寄せられています。役務に関するマルチ商法は「モノなしマルチ商法」ともいわれており、若年層で増加傾向にあるようです。

    たとえば友人やSNS上の知り合いから、暗号資産(仮想通貨)や海外事業者などへの投資やアフィリエイトなどのもうけ情報を「知り合いに紹介すれば報酬が入る」などと勧誘されるケースがあります。

    このような「モノなしマルチ商法」は、実際に商品を販売しないため、マルチ商法だと気が付きにくいでしょう。また、インターネット上で事業者とやり取りをすることが多いため、返金や解約を求めるときに、事業者を特定しにくいケースもあるようです。

3、マルチ商法にはどのような法規制がある?

マルチ商法は、特定商取引法によって、さまざまなルールや勧誘時の禁止行為が定められています。

違反した事業者は、業務改善指示や業務停止命令などの行政処分を受ける可能性があるほか、罰則の対象にもなります。

どのような内容が定められているのか、見ていきましょう。

  1. (1)勧誘前の氏名などの明示ルール

    マルチ商法の勧誘に先立って、勧誘者などの氏名・連鎖販売取引である旨・商品や役務の種類を消費者に対して告げなければならないという規制があります。

    そのため、マルチ商法であることを隠して「会わせたい人がいる」などと言って、呼び出すことはこのルールに違反します。

  2. (2)勧誘を行う際の禁止行為

    勧誘を行う際に嘘を本当のことのように伝える「不実告知」や、都合の悪い情報(事実)を隠して伝える「事実不告知」は禁止行為になります。

    また、勧誘時や契約締結後に相手を威迫して契約解除を妨げることや、キャッチセールスなどで誘った消費者を公衆が出入りできない場所で勧誘することなども禁止されています。

  3. (3)広告におけるルール・禁止行為

    マルチ商法の広告では、取引に伴う特定負担に関する事項など、法で定められた内容を表示しなければなりません。また誇大広告や、承諾のない消費者へ電子メール広告を送信することも、禁止されています。

  4. (4)書面交付のルール

    特定商取引法では、一定事項を記載した書面を消費者に交付しなければならないとしています。
    契約締結前には「概要書面」、そして契約締結後には「契約書面」の交付が必要です。

4、法律で定められている解約・返金などのルール

マルチ商法に入会し、商品を購入・販売している場合、

  • マルチ商法会社との会員契約
  • 商品の販売契約

のふたつの契約をしていることになります。

これらを解約し、支払ったお金を返金してもらいたいときは、どうすればよいのでしょうか。

  1. (1)クーリングオフ(契約解除)

    マルチ商法の場合、契約書面を受け取った日(商品の引き渡しが後であれば引き渡しの日)から数えて20日以内であれば契約解除(クーリングオフ)が可能です。クーリングオフを行うことで、消費者は商品を業者に返還し、支払ったお金を全額返金してもらうことができます。

    なお、以下のような場合は、クーリングオフ期間が過ぎたとしても、契約を解除することが可能です。

    • 脅迫されたり「クーリングオフはできない」という不実告知をされていたりして、クーリングオフができなかった
    • 概要書面・契約書面に書くべき内容が網羅されていない、虚偽があるなど、書面に明らかな不備があった

    また、クーリングオフを行うときは、書面通知がおすすめです。クーリングオフは、その意思を示した時点で効果が発揮されるため、いつ書面を発送したのか、その書面が確実に相手へ届いたのかを日本郵便が証明してくれる「内容証明郵便」「配達証明」を利用しましょう。

    なお、クーリングオフの場合、消費者は契約の解除に伴う違約金の支払いをする必要はなく、商品の引き取り費用も業者負担となります。

  2. (2)中途解約・返品

    クーリングオフが可能な期間を経過した後でも、連鎖販売契約の契約解除をすることは可能です。また、「入会して1年経っていない」などの一定条件を満たしていれば、商品販売契約を中途解約し、一定金額を返金してもらうことができます。

    ただし、中途解約の場合、解約料(違約金)が必要となることがあるため注意が必要です。

  3. (3)契約の意思表示の取り消し

    契約時の勧誘のときに、販売業者の不実告知や事実不告知によって誤認し契約の申込みや承諾を行った消費者は、たとえクーリングオフ期間が過ぎた後であっても、その意思表示を取り消すことができます。

    これは、消費者契約法による取消権といいます。

5、マルチ商法の解約・返金は弁護士に相談を

マルチ商法では、消費者だけで業者側と交渉しても解約・返金に応じてもらえないことも少なくありません。しかし、弁護士に相談すれば、弁護士が業者と直接交渉して解約・返金を求めるので、早期に解決できる可能性が高くなります。

また、クーリングオフ期間を経過した後であっても、交付された書面の記載事項の不備や勧誘時の不適切な行為などを弁護士が見つけ出し契約を解除できることもあります。
マルチ商法の業者との交渉は、法律に精通した弁護士に相談してすすめることをおすすめします。

6、まとめ

本コラムでは、「マルチ商法の法規制や解約・返金のルール」について解説していきました。
マルチ商法においては、勧誘者が法規制を守っていないことも多く、クーリングオフ期間を過ぎても解約・返金が認められることも少なくありません。しかし、被害者が個人で交渉しても、業者側に太刀打ちできないことも多いでしょう。

そういったときには、弁護士に相談して交渉を任せるなど、おひとりでトラブルを抱えないようにすることが大切です。

マルチ商法のトラブルでお悩みの際には、ぜひベリーベスト法律事務所 新宿オフィスの弁護士にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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