デート商法とは? 特徴や代表的な手口、返金を求めるための方法を弁護士が解説
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悪質商法の手口として有名なもののひとつが「デート商法」です。被害者の恋愛感情を悪用して高額商品の購入などをさせるもので、別名「恋人商法」とも呼ばれ、広く注意喚起がされています。
古典的な悪質商法であるデート商法ですが、最近では業者側の手口も現代的なものに変化しており、より悪質化している点に注意が必要です。
デート商法によって高額商品の購入などをさせられてしまった場合、業者から返金を受けることは可能なのでしょうか?デート商法の手口や返金方法などを新宿オフィスの弁護士が解説します。
1、デート商法の定義や特徴について
悪徳商法の手口として古くから存在している「デート商法」ですが、具体的に、デート商法にはどのような特徴があるのでしょうか。
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(1)デート商法とは
デート商法とは、悪徳商法のひとつで、被害者の恋愛感情を悪用して高額商品やサービスの契約を締結させるものです。
販売員が異性に接近し、何度かのデートなどを重ねながら契約につなげる手口で、被害者を恋人関係であるかのように錯覚させることから、「恋人商法」とも呼ばれます。 -
(2)デート商法の特徴
デート商法のもっともおそろしい特徴は、「被害に気づくのが遅い」ということでしょう。
恋人から勧められた商品やサービスの契約を交わしただけという意識が働いてしまうため、家族や友人などから指摘されて初めて被害に気づくというケースも珍しくありません。
被害に気づいたときには、恋人だと思っていた販売員は姿を消し、連絡もつかなくなります。
泣き寝入りをしてしまう被害者も多く、表沙汰にならないまま業者が暗躍しているケースも多いでしょう。
また、恋愛経験の少ない若い男女がターゲットにされやすいため、クレジット契約がとおりやすい数十万~数百万円の価格帯の商品の購入を勧められることが多いという特徴があります。したがって、代表的な販売商品として、宝石・絵画などが挙げられます。ただ、近年は、投資用マンションなどの不動産を購入させる手口も確認されています。
2、デート商法の代表的な手口
デート商法の代表的な手口を確認していきましょう。
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(1)美男・美女が近づいてくる
デート商法の販売員は、ターゲットに恋愛感情を抱かせるため、異性としての魅力を用いる傾向にあります。したがって、販売員の中には、見栄えのよい美男・美女が少なくありません。
特に、ターゲットとなった人に恋愛経験が少ない場合、これまでに経験したことのないような恋愛に夢中で冷静な判断ができなくなってしまう結果、騙されていると気づかないまま、高額商品を購入させられるなどの被害に遭うのです。 -
(2)街頭アンケートは代表的な手口のひとつ
街頭アンケートと称して異性に近づき、喫茶店などに移動して恋人気分で談話しながら高額商品の購入などにつなげる手口が、もっとも代表的かつ古典的な手口です。
談話の途中で仲間が登場し、契約しないと帰れないような、脅迫的な手口も存在します。 -
(3)同窓会などを利用するケースもある
同窓会やカルチャースクール、サークルといった団体活動の機会を利用し、恋愛感情があるかのように誤解させ、契約に結びつけるケースも少なくありません。
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(4)婚活市場やマッチングアプリも利用されている
結婚相談所・婚活サイト・婚活パーティーなどの婚活市場や、出合い系サイト・マッチングアプリを利用してターゲットを探す事例も増えています。
結婚相談所や婚活パーティーなどは、事前審査のために個人情報を提出しなければならない場合があるので、近年では、匿名利用が可能なインターネットを悪用する手口が増えているようです。
特に、出合い系サイトやマッチングアプリは、登録時点で個人情報を入力する必要がなく、たとえターゲットが被害に気づいたとしても、加害者の素性をたどることは困難です。したがって、そのようなサイトやアプリには、販売員が潜んでいる危険が高いといえます。
3、クーリングオフは可能? 返金方法4つ
恋愛感情に乗せられて必要もない高額商品を購入してしまった場合、多くの方は「クーリングオフはできないか?」と考えるでしょう。
クーリングオフとは、訪問販売や電話勧誘販売などにより不意打ち的な契約締結をしてしまった場合に、一定期間内であれば契約解除などができるとすることで、消費者を保護する制度です。デート商法は、多くがアポイントセールスや訪問販売に該当しますので、該当すれば契約書面が交付された日から8日間は、クーリングオフをすることが可能です。
しかし、デート商法ではクーリングオフを妨害するため、恋人役の販売員が8日間を過ぎるまで関係を維持したり、「ふたりだけの秘密」といった甘い言葉を投げかけたりするので、期間が過ぎてしまい、クーリングオフをすることができないケースも少なくありません。
そこで、デート商法で返金を求めるときにおすすめしたい方法が4つあります。
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(1)デート商法は契約の取り消しが可能
平成30年6月の消費者契約法改正により、デート商法の被害に遭った若年者などを保護する条文が新設されました(消費者契約法4条3項4号関係)。
すなわち、被害者に「社会生活上の経験」が乏しいため、販売員に対して「恋愛感情その他好意の感情」を抱き、かつ販売員も同じ感情を抱いていると誤信してしまった場合に、その感情を利用され、契約を締結しなければ販売員との関係を破綻すると告げられたために消費者契約を締結してしまったときは、その契約の取り消しが可能となりました。
「契約してくれないと交際は続けられない」などと言われたために高額商品の購入などをさせられた場合、そのような契約を取り消すことによって、支払ってしまった金銭の返還を求めることが可能です。 -
(2)和解による返金
クーリングオフなどの諸条件に合致しないケースでも、業者との交渉によって和解に持ち込むことで、返金が受けられる可能性があります。
業者は、デート商法として諸官庁や警察に届け出をされてしまうことをおそれているので、トラブルに発展してしまうよりは返金してしまった方が得策だと考えるのでしょう。
ただし、デート商法をくり返している悪徳業者は、消費者からの返金請求やクレームに慣れており、何らかの理由をつけて返金を拒否してくるおそれがあります。
和解に向けた交渉は、個人で対応するのではなく弁護士に任せる方がベターでしょう。 -
(3)裁判所の手続きによる返金
業者によっては、デート商法による契約締結が違法であるとして返金を求めても、これを拒む事態が予想されます。そこで、業者が返金に応じない場合は、裁判所の手続きを利用して返金を求めるという方法が考えられます。
訴訟を提起してデート商法の被害に遭ったことを主張し、「金員を支払え」という判決を得ることができれば、返金を受けることができるでしょう。
また、実際に訴訟手続に移行すれば、交渉では返金を拒んできた業者でも、トラブルを避けるために和解に応じる姿勢に転じる可能性があります。 -
(4)警察への届け出
デート商法は悪徳商法の手口のひとつですが、刑法などに定められた犯罪ではないため、基本的には警察が介入する分野のトラブルではありません。
しかし、契約して代金を支払ったのに商品が送られてこないなどの場合は詐欺罪にあたる可能性があります。また、契約を迫られる段階で販売員の仲間が登場して「契約しないと痛い目に遭うぞ」などと脅されたなどのケースでは恐喝罪が成立することもあるでしょう。
このような被害に遭った場合は、警察への届け出をおすすめします。警察が代金を取り返してくれる訳ではありませんが、警察が動くことをおそれた業者側から示談をもちかけられて返金が受けられる可能性もあります。
このとき、被害届の取り下げを条件として返金を提示されることもありますが、必ず返金されてから被害届を取り下げるようにしてください。被害届は一度取り下げると、再度提出することができません。
返金を確認してから、被害届を取り下げましょう。
4、デート商法の被害や返金トラブルは弁護士に相談
デート商法の被害に遭った、業者に返金を求めたのに拒否されたなどのトラブルでお悩みであれば、弁護士への相談をおすすめします。
法律の専門家である弁護士に契約までの経緯や契約の状況、契約書の内容などを確認してもらえば、関係法令に抵触しているかどうかや、その契約の取り消しなどができるかどうかを正確に判断できるでしょう。関係法令に抵触していることが明確であれば、弁護士が代理人となって業者に返金を求めることも可能です。
それでも業者が返金を拒むようであれば、訴訟により金員の返還を求めることになりますが、個人の方にとって、訴訟の提起や対応は、非常に難しいでしょう。弁護士にサポートを依頼すれば、訴訟手続きを任せることも可能です。
デート商法の被害について弁護士に依頼する際は、消費者トラブルの解決実績が高い弁護士への相談をおすすめします。
5、まとめ
デート商法は、恋愛感情につけこんで高額商品の購入などをさせる悪質商法です。
単に「悪質」というだけでなく、法律に抵触する行為なので、弁護士に依頼して返金を求めるのがもっともスムーズな解決方法となるでしょう。
デート商法の被害に遭って高額商品を購入してしまったので契約解除したい、既に支払った代金の返金を請求したいとお考えなら、ベリーベスト法律事務所 新宿オフィスにお任せください。
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- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています